2020年4月10日金曜日

【詩歌】花降りて遠ざかりゆくひとびと


「四月は残酷な月」とT.S.エリオットは詩集「荒地」に書いた。まことに僕にとってもそうなった。


花降りて 遠ざかりゆく ひとびとも
まなうらにある 声はそのまま

ひとりふたり、三人四人、顔が浮かぶ。

桜はこの世ならぬものに思われる、
はなびらが水に流れる様はすがすがしい。


花筏 日時計よりも ゆるやかに
時を流せよ 水のまにまに

突然、つらい知らせが届き、胸を痛める。

ひととせの 文読む月日 過ごしつつ
離れた後の 笑顔愛しも
     (かなしも)

対面している時間はいつも楽しく過ぎてゆく。
記憶に映る情景は、明け方に薄れる夢のようだ。


夕さりて 水の上なる 葉桜の
この世にあらむ 玉とし揺るる

──春の終わり、朝は5時から明るい。
いつものように碧(みどり)の絵を立てかける。

朝が来て 光を眺め 絵を眺め
若葉の頃は 永久に輝く
    (とわ)

初めて会ったのはこの季節。
再会を切に願うのもこの季節。

先日、雪の降った東京

札幌の雪は解けたにちがいない。