「四月は残酷な月」とT.S.エリオットは詩集「荒地」に書いた。まことに僕にとってもそうなった。
花降りて 遠ざかりゆく ひとびとも
まなうらにある 声はそのまま
ひとりふたり、三人四人、顔が浮かぶ。
桜はこの世ならぬものに思われる、
はなびらが水に流れる様はすがすがしい。
花筏 日時計よりも ゆるやかに
時を流せよ 水のまにまに
突然、つらい知らせが届き、胸を痛める。
ひととせの 文読む月日 過ごしつつ
離れた後の 笑顔愛しも
(かなしも)
対面している時間はいつも楽しく過ぎてゆく。
記憶に映る情景は、明け方に薄れる夢のようだ。
この世にあらむ 玉とし揺るる
──春の終わり、朝は5時から明るい。
いつものように碧(みどり)の絵を立てかける。
朝が来て 光を眺め 絵を眺め
若葉の頃は 永久に輝く
(とわ)
初めて会ったのはこの季節。
再会を切に願うのもこの季節。
先日、雪の降った東京 |
札幌の雪は解けたにちがいない。