2020年12月13日日曜日

旅立ちの朝

旅立ちに本当に必要な荷物はひとつだけだ。

見送る者たちの愛。旅人が立ち去る土地に根ざした人々の深い愛情。

しかも、旅人はそれを抱きしめながら、振り切っていく。無言で。それから、故郷のひとたちは便りを待つ。そこには必ずこう書いてある。

「こちらは元気にやっています。次の夏には、そちらへ帰れるかもしれません……」