2014年5月30日金曜日

【ギャラリー】3/Forest <岩瀬貴憲・岡島章子・吉田敏子>版画展@エスキス

札幌、円山の喫茶店エスキスで5月29日(2014)より、版画の三人展が始まりました。さっそく観に行って来たのでレポートを!

紺色が印象的。少し光って写っています。

一人目はこの方。すらりとした平面。抽象的な絵もよいですし、次のような「発芽」と題された具象的な絵も。

ランプが写り込んでいますが、淡い青緑色の背景。

二人目の方は猫を描いています。デッサンをしたような筆致が残る技法は面白いですね。

デッサンのような線。

 静けさのある猫です。次の絵は大きな絵ですが、白と黒だけの表現でこまやか。

大作。どうしてもバックが写り込む。

三人目の方は、流れとカラスをモチーフにされています。ワタリガラスなどの伝説的なカラスでしょうか。何枚も同じモチーフが使われていました。

よく見るとカラスの影。Flowと題されています。

この展示は3週間ほど。次回は、「森の誘い」展。そのDMをいただいたので載せておきます。作家は道南の自然豊かな土地に移り住んで制作されているとのこと。こちらも楽しみ。

安積徹(あさかとおる)「森の誘い」展

Cafe Esquisse(カフェ・エスキス)
住所:札幌市中央区北1条西23丁目1-1
TEL:011-615-2334
営業時間:月ー土:12時〜24時 日:12時〜21時 水曜日定休。
3/Forest 会期:5月29日〜6月17日

2014年5月29日木曜日

【俳文】札幌便り(19)

4月の後半、日に日に暖かくなるも山の雪は白く残る。

円山の雪も消えしな昭和の日

これで冬の名残は去り、桜の咲くゴールデンウィークを迎える。そのなかに立夏があり、札幌もここではさして遅れをとらず、早々に初夏の気分に浸る。さて、そのあいだにある短い春の句をいくつか。

このくらいで満開かなあ山桜
見上げてぞ花の迷路に入り込み
札幌の木ごとにたがう花の色

東京でよく見るソメイヨシノとはちがって、ここ円山公園ではエゾヤマザクラが主で、それも木ごとに枝ぶりも背丈も花の色もばらばら。

花の下ビール空けるや朝っぱら

恒例の「火気解禁」はこの時期だけ。バーベキューにけぶるが、少し離れるとひとけがない。

花の陰ぽつねんと居る鴉かな
誰もいない球場の向こう花の雲

桜はなにごとか思い出させる花なのか、いろいろの想念も湧く。

花びらや思考の塵の降るごとく

おじいさんとおばあさんが並んでベンチに腰掛けているのを見かけた。

老いらくのふたり並びて柳の芽

木蓮も東京に遅れることしばし、開花する。

紫木蓮つぼみの頃はうすみどり
白木蓮みんなで乾杯する手のよう
連翹(れんぎょう)や目立ちたがらぬ後ろ姿

モクセイ科の連翹。黄色い花はあざやかなのに、印象は桜の影に隠れる。

ムスカリはいつも数え切れないね
ムスカリに重く接吻くまんばち

ムスカリ二句。可憐でたくさん咲く。一句目、字足らず。

そこらじゅうたんぽぽになる水の音

実際には、たんぽぽ(春の季語)がわっと咲くのは立夏の後だった。

夏立てりオンコの日陰ことに濃し

「オンコ」はイチイの木。葉が密な常緑樹。

新緑の葉の一枚を数えたし
新緑に笑っているよスヌーピー

北海道に喜びのあふれる夏の初め。

薫風の吹き抜けゆくや大通

大通公園をはじめ、市街と公園のあちらこちらにチューリップが咲く。

午前中チューリップまだ開かない
クインオブナイトと名乗りチューリップ

午前中だからというわけでもないが、語感で詠む。クインオブナイト(騎士の女王)は品種。

ちびちびと蟻上り来る青い服
ずぶ濡れの切り株に這う蟻の姿

蟻の句。

ライラック一本二本三本と

札幌を代表するリラ(ライラック)の花。次々とたわわになりゆく。

ベーコンをじゅっじゅと焼ける夏の朝

卵と合わせて朝食を取ったら、散歩へゆく。どんどん芽吹くポプラは、樹冠の方により葉が生い茂り、圧巻。

枝先に初夏の風あり白樺(しらかんば)
小満の六本ポプラ空に森

【エッセイ】雨と木曜日(9)


先日、小樽へ行ってきました。ちょうど夏日になり、シャツを羽織ればよいくらい。運河では記念写真を撮る外国人に出くわし、観光用ボートが水のうえをゆくのを見かけました。去年まで、運河にモーターボートはなかったように思います。交差点で見上げると「色内(いろない)」「港町」といった地名が見つかり、海を見て一回りすると駅へ戻ります。そこで、ふと古い郵便ポストを見かけました。円筒形。現役でした。

***

「珈琲の効能について」と書かれた紙が、珈琲豆の入った袋に同封されていました。とある珈琲屋の店主のお手製のよう。

(1)コーヒーが糖尿病を予防する
(2)コーヒーが心疾患を予防する
(3)コーヒーが脳卒中を予防する
(4)コーヒーが癌のリスクを下げる

(1)はインスリンの働きを活性化する物質(クロロゲン酸)がコーヒーに含まれているから、とのこと。(2)もクロロゲン酸の抗酸化作用と……素敵なおまけの紙。

***

『ペロー童話集』は、フランスの古い童話集。シャルル・ペロー(1628 - 1703)が民間伝承を集めたもの。こうした民話の採録ではもっとも古いものに当たる。有名なところでは、「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」など。「シンデレラ」や「長靴をはいた猫」も収められている。ところで、ペローがこの童話集を推薦するまえがきその他もおもしろい。「子供の教育によい、道徳的だ」と主張するが、牽強付会でどこか微笑ましい。


【書誌情報】
『ペロー童話集』、新倉朗子訳、岩波文庫、1982

2014年5月26日月曜日

【カフェ個展】鈴木美絵展@カフェ フェリーチェ(札幌 PIVOT 5F)

札幌、大通のPIVOT(ファッションや雑貨のビル)5Fのカフェ フェリーチェにて、絵描きの鈴木美絵の個展が始まりました。

「幸せの扉の前で」

表玄関には扉の絵が待っています。全体で、新作を含めた9点が飾られています。


お魚の絵は昨年のドロール(美容室)の個展でも観られたものですが、フェリーチェの空間にもぴったり。


キャンディーの絵は、この絵描きさんの淡い画風から外れるように、輪郭も陰影もくっきりと。いかにもポップなキャンディーらしく、内容と描き方(スタイル)が一致。

「揺り籠」

こちらは、草原の絵。「揺り籠」のタイトルも印象に残り、この絵の空間のなか、ないし現実の草原のなかで大の字に寝っ転がって休息したくなるような気持ちになります。

「揺り籠」(一部)

一見、緑一色で「かんたんな絵」に見えるかもしれませんが、それは写真でのこと。細部まで描き込まれており、具象的な表現というより、線の波と色彩の散らばりが一種の抽象絵画のように調和と動きを作り出しており、観るたびに発見があります。今回、僕にとって一番、印象の強かった絵です。

「花咲く森へ」

カフェの奥まったスペースに、さきの草原と双璧をなす大きな絵。


タイトルは「花咲く森へ」。少女の踊り子3人が描かれ、背景は薄緑のパステル調。そこに20種類以上の花が散らばっています。チューリップだけが3本、ほかは1つずつ。


輪郭線がぼやけ、「スフマート」に似た描かれ方がされています。これにより、全体に淡いファンタジックな雰囲気を作り出すとともに、踊り子の動きも表現されています。


背景の花たち。少女の手に持たれているように描かれているのが、ライラック。札幌、大通公園を代表する花でもありますね。


こちらは左の少女。よく見ると洋服や首もとは、黒い線でしっかりと輪郭がつけられています。さきの「ぼやかし」と併用されることで、「夢見心地」や「動き」とともに「落ち着いた静けさ」とのバランスが図られているのでしょう。

ゆっくりと鑑賞するならば、お客さんの少ない午前中がおすすめです。

【展示の情報】
鈴木美絵 個展
2014.5.26 - 8.26(途中、ライジングサンにかかわる企画のために中断期間あり。)
カフェ フェリーチェ
〒060-0062 札幌市中央区南2条西4丁目 PIVOT 5F
TEL : 011-281-8787
営業時間:10:00〜20:00 休みはPIVOT休館日に準じる。(おそらく不定休。)

2014年5月24日土曜日

【ご報告】本のカフェ第5回@エスキス(札幌、円山)

2014年5月22日(木)19時ー21時半

 今回は、Cafe Esquisse(カフェ・エスキス)での2回目の開催でした。7人の参加者のみなさまとともに、2つのテーブルを囲んでこぢんまりとお話ししました。 


 一冊目は、大きなポップアップ絵本で、建築家ガウディの公園や家が飛び出します。ガウディはスペインのカタルーニャ地方生まれ。26歳のときにパリ万博で生涯のパトロン、グエルと出会い、バルセロナで高い評価を得てゆきます。後半生は熱心なクリスチャンとなり、事故で亡くなるまでサグラダ・ファミリア教会を造り続けました。紹介者の方が実物を見たときには、「天に向かって発掘しているような印象」を抱いたそうです。


 二冊目は、國分功一郎『暇と退屈の倫理学』。変わったタイトルの哲学書で、2011年に出版されてかなり評判になりました。全体は7章構成で、過去の哲学者たちの「暇」や「退屈」「幸福」に関する議論が取り上げられています。紹介者の方が一番おもしろかったと言うのは、遊牧と定住の話。昔、人間が遊牧していた頃は暇がなく、定住することで暇と退屈が生まれた、と。紹介されるのが哲学書のためか、大学のゼミのような雰囲気でした。


 三冊目は、最相葉月『セラピスト』。著者は心理の専門家ではなく、ジャーナリストとしてこの本を書いています。しかし、取材が綿密であることと、臨床心理を学んで大学院まで出られたとのことで、「商品」としてのノンフィクションを超えて、ライフワークの域に達している、と紹介者の方は言います。学派に偏らず、歴史的な経緯を著述する点、また、心理学・精神医学の偉人である、河合隼雄、中井久夫、両先生の言葉の記録が貴重な一冊。


  後半のフリータイムでは、「文房具ルーム」が開かれ、各自、持ち寄った文房具を紹介し合いました。くるくる巻きのペンケース、七つ道具のようなマルチツール、ブックホルダー、ユニークな付箋やペーパーナイフが机のうえに並びます。話題は、ガウディから発展してスペイン語、臨床心理学、手作りの絵本、ルオーの絵、漫画『神様はじめました』などに及び、話が盛り上がるうちに終了時間を迎えました。


 その後は、数人が残ってもうワンドリンクを注文、夜のエスキスの静かな雰囲気を味わいながら、ゆったりとお話ができました。みなさま、今回もありがとうございました。

【書誌情報】
『ガウディ:ポップアップで味わう不思議な世界(しかけえほん)』、コートネイ・ワトソン・マッカーシー、木村高子訳、大日本絵画、2012
『暇と退屈の倫理学』、國分功一郎、朝日出版社、2011
『セラピスト』、最相葉月、新潮社、2014

2014年5月22日木曜日

【エッセイ】雨と木曜日(8)


 詩とパンと珈琲の店、モンクール。フランス語で「わたしの心」を意味する喫茶店の名前。それとも、パン屋さんだろうか。珈琲屋さんかもしれない。素敵な場所で、地域の作家による写真や詩集、小物にポストカード、それにクッキーが積んである。おからドーナツはさくっと甘く、フォカッチャはじゃがいもが練り込まれてハーブの香り、全粒粉のパンはどっしり。ドイツのライ麦パン、プンパーニッケルも置いてある。これはほかではなかなか見られないパン。

***

 くすみ書房は街の本屋さんだ。60年以上の歴史がある。琴似にずっと店舗を構えていたが、2009年、少し町外れの大谷地に移転した。街の本屋は大変だ。それでも、くすみ書房は面白い試みを次々と打ち出していった。「なぜだ!?売れない文庫フェア」「中学生はこれを読め!」店主の久住さんの一押しは「ちくま文庫(ちくま学芸文庫)」。100冊くらい表紙を出して並んでいる。すばらしくユニークな棚作り。これからも街と本の文化を支えてほしい。

***

 ガウディについて、ふとしたきっかけから調べ始めた。ぐいぐい引き込まれてゆく。サグラダ・ファミリアで30年も石大工の仕事を続ける外尾悦郎さんの著書『ガウディの伝言』には、現場の話がたくさん。ガウディの伝記も気になる。独身を通し、人間関係には不器用なところがあるが、才能は若き日から開花し、それを認めるグエル伯爵の全面的なバックアップを得て、独創的な建築を旺盛に造り続ける。写真集は毎ページ息を飲んでしまう。



【お店情報】詩とパンと珈琲 モンクール
住所:札幌市中央区北3条西18-2-4
定休日:日曜日、月曜日、祝日
営業時間:(火~金)11:00~20:00(土) 9:00~18:00

【お店情報】くすみ書房
住所:札幌市厚別区大谷地東3-3-20 CAPO大谷地(地下鉄東西線大谷地駅隣接)
電話:011-890-0008
営業時間:10:00~22:00(2Fは21:00まで)、年中無休
ホームページ:http://www.kusumishobou.jp/index.html

【書誌情報】『ガウディの伝言』、外尾悦郎、光文社新書、2006
『ガウディの奇跡』、北川圭子、アートダイジェスト、2003
『ガウディ 日本語版』、エデトリアル・エスクド・デ・オロ社(EDITORIAL ESCUDO DE ORO S.A)制作、宇野澄子訳、1990(※ 日本の出版社について記載なし。)

2014年5月20日火曜日

チューリップの咲きそろう街

札幌、円山公園のチューリップがきれいでしたので、写真でご紹介。

チューリップの代表的な形

白く、花弁が重なる。
真っ赤で立体的

黄色い花弁はふさふさ、けばだつよう。

先端は赤く、なかは濃い紫

先端に白い縁取りが

オレンジのあざやかなとんがり

黒に近く見えますが、濃い紫のよう

真っ白な「春天使」

一週間ほど前に撮った写真もあります。いまも咲き誇っていますが、少しずつ衰えも見えるかな。とても美しい一角でした。

【イベント】パンと珈琲の古楽会@札幌(モンクール)

*定員に達しました。ありがとうございます。*

札幌には古楽の好きなひとがけっこういるらしい……そんな話を聞いて企画しました。

リュートと呼ばれる楽器

パンと珈琲の古楽会」。六月の夜、ハード系のパンをオリーブオイルとともにどうぞ。珈琲と紅茶を楽しみ、BGMには古楽が流れている……。ヨーロッパの古い音楽に親しみ、おしゃべりする会です。

場所:詩とパンと珈琲 モンクール(札幌市中央区北3条西18-2-4)
日時:6月26日(木)19時ー21時
参加費:800円(パンとドリンク付き)
定員:15名

古楽をBGMでかけながら(※生演奏はありません。)、自由におしゃべりをするというシンプルな内容です。

会場のモンクールさん

古楽というのは、ヨーロッパの古い音楽で、チェンバロやリュート、リコーダー(プラスチックのではなく、木製ですよ。)、現代のものとは音色の異なるヴァイオリンなどが、中世〜1750年くらいの音楽を奏でます。

イメージとしては無印良品でかかっているような音楽で、なんだかアットホームな、ときにヴィヴィッドな、元気で溌剌、繊細で明快、さまざまな技巧を凝らした歌と器楽の数々です。

当日は、数千曲(CD200枚分くらい)のレパートリーのなかから、選んでかけてゆきます。その範囲でなら、リクエストにも応じられます。◎ また、かけたいCDをお持ちいただいても結構です。

奧のイートインスペース

会場は、木と布の内装でこぢんまりとした空間。古楽にはぴったり、だと思います。珈琲と紅茶は飲み放題で、パンはハード系のものが自由に食べられるほか、棚から好きなものを買えます。

古楽をよく知っている必要はありません。古楽と初対面であれ、ふだんから聴くひとであれ、何度でも古楽と出会いましょう。古楽という言葉にゆかしさを感じる方々、どうぞお越しください。

* 参加をご希望の方は下記までご一報(名前と連絡先)ください。*

メール:kimura-youhei◆live.jp (◆→@)
Twitter:@ginnyushijin
Facebook:「本のカフェ」で検索。「本のカフェ」のアカウントを借りますので(主催者は同じ)、そちらにお申し込みください。(※ 当日、「本のカフェ」をおこなうわけではありません。)

主催:木村洋平


*いろいろ*

会場までの道順:西18丁目駅から北へ徒歩7,8分です。道立美術館の裏のあたり、交差点の角のそば。入口は南向き。「詩とパンと珈琲 MON COEUR」の看板があります。(店名は、フランス語で「わたしの心」の意。)

持ち込み可:ワイン、チーズなどの持ち込みはOKです。(さすがにパンはダメだと思うけれど……。)珈琲と紅茶がセルフで飲み放題ですが、ほかの飲み物がよいという方はお持ち込みください♪

終わりの時間をきっちり:モンクールさんはたいへんに朝の早いパン屋さんですので、9時終わりは厳守です。ワインでほろ酔い、帰りたくない〜なんていうのはいけませんよ!

二次会?:二次会の予約はしていませんが、近くのカフェへゆくかもしれません。。。

2014年5月17日土曜日

僕の好きな虚子の句(下)

(上)に続き、高浜虚子の俳句から好きなものをご紹介。『虚子に学ぶ俳句365日』の解説に依りながら、ひと言ずつ。

ふるさとの月の港をよぎるのみ

この句を作る数日前に故郷の松山のそばを通過している虚子。「ごく近くに見えていて、手の届かない故郷を詠う思いも、たいへん深い」。民謡の一節のようなうるわしさと静けさがある。

主留守色鳥遊びやがて去る

「色鳥」は「秋の小鳥の総称」。「この句は三つの場面から構成されています」。五・七・五がそれぞれ一場面を描き出す。虚子にはこのような「物語風の句」が見られ、詰め込みすぎもなく、秋風のように流れる様がみごと。

顔抱いて犬が寝てをり菊の宿

「ホッとするかわいらしい句です。」「犬が丸まって、前足に顔をうずめて寝ている様子を「顔を抱いている」と捉えました」。折しもそこは菊のきれいな宿。「黄色い菊の明るさが眠る犬を包み、安らかな風景です」。

丘二つ霧やや晴れてなだらかに

これも物語風の句。「丘二つ」を静止した像で置き、そこに霧がかかって、ついでやや晴れてきて、と時間の流れを生み出す。「なだらかに」とあとへ続くような終わり方であるのが、時の流れのゆるやかさをも表す。

何の木のもとともあらず栗拾ふ

芭蕉に「何の木の花とは知らずにほひかな」とあるのを意識したかもしれない、と解説。このような「茫漠とした調子」は虚子の大変、得意とするところ。そうやって始まるからこそ、下五では栗の姿が目に浮かぶ。

彼一語我一語秋深みかも

「彼がひとこと何かぽつりと言った。私もぽつりと答えた」。あとは沈黙、という光景。和歌でよく使われる「かも」という詠嘆がしっくり来て、一句を締めている。「かな」では、どこか落ち着かないか。

白雲と冬木と終(つひ)にかかわらず

「天上の白雲と、地上の冬木」が、「何の接点もなくすれちがう二つの存在」として描き出される。そのきっぱりした詠みぶりが、かえって白雲と冬木の「取り合わせ」に妙味をもたらす。どこか端正な句。

旗のごとなびく冬日をふと見たり

冬日が「風になびいているかのように見えたという幻想には、現実以上のリアリティ」がある、との評。冬空はどこか白く、澄みながらも正視していられないかのような気持ちを起こす。それが、「ふと」幻想を呼ぶ。

その辺を一廻りしてただ寒し

「そのへんをひとまわり」と、「一筆書きのようにさらり」と描き出す。「季題だけを生かすという句です」。「ただ」寒し、とひらがな二文字もよく活きている。これほど中身がなく味わいを醸す句は虚子のほかに詠めるひとがいない、と思う。

伊太利の太陽の唄日向ぼこ

「オー・ソレ・ミオ」を「ラジオかレコード」で聞いたのだろう、と。冒頭は「イタリー」を漢字で置きつつも、平易な「太陽の唄」という言葉をもってきて、最後は「ぼっこ」と促音にせず、「ひなたぼこ」と無造作に詠み切る。平和な句。

こうして、選び取りながら読んでみると、虚子の恬淡とした調子、情緒の色合いが明快でありながら、濃密さより空白を大事にするような句柄、言葉の隙のなさ、といったものに気がつく。

【書誌情報】『虚子に学ぶ俳句365日』、『週刊俳句』編、草思社、2011

2014年5月16日金曜日

僕の好きな虚子の句(上)

高浜虚子(1874-1959)の句はどれも好きなのですが、今回、『虚子に学ぶ俳句365日』という本を見つけて面白く、そこから二十句ほどを選びました。もともとある解説をふまえ、ひと言を加えてゆきます。

犬ふぐり星のまたたく如くなり

「イヌノフグリは、ピンク色」であり、「虚子の詠んだのは、おそらくオオイヌノフグリのほう」。青紫の花が、明滅する星のように見えてくる。

肴屑俎にあり花の宿(さかなくず まないたにあり はなのやど)

「花見の宴のために酒の肴を用意したのでしょう。お皿に盛り付けたあとの俎に、切れ端などの屑が残っていました」。たとえば、そんな情景が浮かぶ。ひとけのない台所、肴の屑、そこに「さび」を感じさせながら、「花の宿」とほのかに明るく桜色に結ぶ。

遠足のおくれ走りてつながりし

遠足は春の季語。「この句は、おくれる、走る、つながる、と三つも動詞を用いています」。それによって、「動的な景」を描く。列がまばらになり、先生が「ほら、急いで、詰めて」というようなことを言いする風景が微笑ましい。

大いなる新樹のどこか騒ぎをり

「「新樹」は初夏の新緑をたたえた木。」「この場合、音が聞こえるというよりも、動きに「騒ぎ」を感じるのでしょう。」風景の全体がざわめきだつような句境の大きさ。

軽ろやかに提げて薄暑の旅鞄

「薄暑」は、初夏のやや汗ばむような暑さ。解説者は、ほかの季語ではこの句のようにまとまらない、と言う。たしかに、薄暑だからこそ、「軽ろやか」にも涼しさが出る。

バスの棚の夏帽のよく落ちること

「麦わら帽子でしょうか。」「室内に入って帽子をとる段になると、とたんにかさばる荷となります」。つば広で、網棚に乗せても揺れればころころと落ちる、それも夏らしい。

コスモスの花あそびをる虚空かな

「気ままに風に遊ぶコスモスの姿が見えてきます」。ここでは、「虚空」のような堅い、イメージのむつかしい語を、「あそびをる」のようなやさしい大和言葉と取り合わせたことで、調和が生まれている。

僕の好きな虚子の句(下)に続きます。

【書誌情報】『虚子に学ぶ俳句365日』、『週刊俳句』編、草思社、2011

2014年5月15日木曜日

【エッセイ】雨と木曜日(7)


チューリップが満開です。円山公園にはいろいろな品種が咲き乱れ、小区画ごとにみな色やかたちがちがいます。「春天使」「アルマーニ」などの名前が、とくにカタカナでたくさんついていますが、とても覚え切れず、ただ見とれるばかり。2,3日前が一番の見頃だったか、という花も見かけますが、全体の彩りはいまが盛り。めぐれどもめぐれども見飽きず、写真を撮るひともちらほら。さあ、大通公園ではライラックまつりも始まります。

***

アンデルセンは童話作家と紹介されますが、実は小説もずいぶん出版しています。日本語版の「小説・紀行文学全集」は全10巻におよび、浩瀚なもの。彼はヨーロッパ中を旅していますので、紀行文もあれこれありますが、小説は九篇あるはずで、うち有名なのは鴎外も訳した『即興詩人』ですね。ほかはほとんど聞く機会のないタイトルばかり。当時から評判はいまひとつで、いまの研究者も評価しない模様。後世にはよいものだけが残るのか、どうか。

***

『のんびり』を読んでいます。これは秋田県のPR誌。秋田の魅力をずっしりと伝えてくれるB5版64ページのフリーマガジン。なかなかのボリューム。手元にある5号では寒天の特集を組み、色とりどりで目の微笑むような写真が並びます。しかし、「これは!」と思ったのは6号の日本酒。純米酒と呼ばれるアルコール添加のない「米と米麹と水」だけのお酒に注目が集まるいま、酒造りから経営までじっくりインタビューが詰まっています。


【参考URL】のんびり http://non-biri.net/editor/index.html

2014年5月9日金曜日

【ご案内】本のカフェ第6回@札幌(琴似、ソクラテスのカフェ)

本のカフェは、好きな本の紹介を通して、集まったひとがゆるやかに交流するイベントです。

場所:ソクラテスのカフェ(くすみ書房さんの喫茶店)東西線「琴似駅」徒歩7,8分
日時:6月8日(日)14時ー17時 (開場は、13時30分)
定員:12名ほど
参加費:1000円(ドリンク付き)

ソクラテスのカフェは、「古本と珈琲のBookCafe」。いま大谷地に本店のあるくすみ書房さんの経営する喫茶店です。昭和風のクラシカルな内装に、文芸書や美術書、北海道の本などが並びます。

内容:本の紹介者が5人、ほかはオブザーバー(紹介せず、聞くひと)。司会・進行は木村が担当します。前半90分は、ひとり15分ほどで本の紹介。後半90分は、フリータイムで自由におしゃべり。(下記の「ブックルーム」あり。)

参加者:紹介者は、紹介する本の現物をなるべく持参。レジュメは必要なし。オブザーバー(紹介しないひと)はなにもいりません。みな、自分の好きな本を持ち寄ってフリータイムに紹介し合うのは自由です。

本の選び方:本は、なんでもよいです。古典、流行りの小説、学術書、新書、ライトノベル、雑誌、ムック本、画集など。

ブックルーム:今回は「本」に関する小物を持ち寄る場を、後半のフリータイムに設けます。ブックカバー、豆本、特装本、しおりなどのアイテムをお待ちしています。自由参加ですので、とくになければ持ってこなくてもOK!
  
大切なこと:ゆるやかな雰囲気を大切にしたいと思っています。課題図書のある読書会のように、正確に内容を説明する必要はありません。思い入れ、感想、あらすじなど、ざっくばらんに語っていただければ十分です。「読書家と呼べるほどではないよ」という方も歓迎です。お気軽にご参加ください。

主催:木村洋平

メール:
kimura-youhei◆live.jp (◆→@)
Twitter:@ginnyushijin
Facebookページ:「本のカフェ」で検索。(または、直接こちらへ。)

*紹介される本*
カズオイシグロ『わたしを離さないで』、折口信夫『死者の書』、辻仁成・江國香織『冷静と情熱のあいだ』の3冊です。

*注意・ご案内*
・本のカフェに関するお問い合わせは、ソクラテスのカフェさんにはおこなわず、直接、主催の木村へご連絡くださるようお願いいたします。

・道順:地下鉄琴似駅の1番出口を出て、右へ直進。7,8分ゆくと、角にセイコーマートの入っているあるビルがあります。その地下一階にソクラテスのカフェがあります。(札幌市西区琴似2条7丁目メシアニカビルB1F)

【ご案内】本のカフェ第5回@札幌(円山、カフェエスキス)

本のカフェは、好きな本の紹介を通して、集まったひとがゆるやかに交流するイベントです。今回は平日の夜に、円山の喫茶店にて。

* 定員に達しました。ご覧いただき、ありがとうございました。*

場所:カフェ・エスキス(http://cafe-esquisse.net/)東西線「円山公園駅」徒歩5分
日時:5月22日(木)19時ー21時30分
定員:8名ほど
参加費:500円+ワンドリンク

内容:本の紹介者3,4人と、オブザーバー(紹介せず、聞くひと)数人。司会・進行は木村が担当します。前半75分は、自己紹介と、ひとり約15分で本の紹介。後半75分は、フリータイムで自由におしゃべり。
  
参加者:紹介者は、紹介する本の現物をなるべく持参。レジュメは必要なし。オブザーバー(紹介しないひと)はなにもいりません。みな、自分の好きな本を持ち寄ってフリータイムに紹介し合うのは自由です。

本の選び方:本は、なんでもよいです。古典、流行りの小説、学術書、新書、ライトノベル、雑誌、ムック本、画集など。

文房具ルーム:後半のフリータイムに、文房具を持ち寄る「文房具ルーム」を開きます。可愛いもの、おしゃれなもの、ノート、こだわりボールペン、万年筆などなど、ある方は持ち寄って見せ合いましょう。とくにないよ、という方は見るだけで結構です。

大切なこと:ゆるやかな雰囲気を大切にしたいと思っています。課題図書のある読書会のように、正確に内容を説明する必要はありません。思い入れ、感想、あらすじなど、ざっくばらんに語っていただければ十分です。「読書家と呼べるほどではないよ」という方も大歓迎です。お気軽にご参加ください。

主催:木村洋平

メール:kimura-youhei◆live.jp (◆→@)
Twitter:@ginnyushijin
Facebookページ:「本のカフェ」で検索。

*紹介される本*
マッカーシー『ガウディ: ポップアップで味わう不思議な世界』、國分功一郎『暇と退屈の倫理学』、最相葉月『セラピスト』の3冊に決まりました。

*注意点*
・夕食は、なるべく事前か事後に取ってお越しください。エスキスさんではホットサンド、トーストなどの軽食があります(数にかぎりあり)が、ディナーメニューはございません。

・本のカフェについてのお問い合わせは、エスキスさんにはなさいませんよう、お願いいたします。直接、主催の木村へご連絡ください。

会場への道順:大通の西22丁目と23丁目の間の交差点を北にゆき、北1条通へ出るひとつ前の角にお店があります。看板が見えます。(〒064-0821 札幌市中央区北1条西23丁目1-1)

2014年5月8日木曜日

【エッセイ】雨と木曜日(6)


画家さんとお話をした。いまは60歳近いひとだが、「子供の頃は、字が読めなかった。LD(学習障害)だったと思う。大人になってから本を読み始め、本は好きだが、それでも一文字一文字ゆっくりと追うように読む」と言う。そのひとから勧められた本を30分ほどで僕が速読すると、驚かれた。「もう読んだのですか」「はい。ですが、僕は読んだ端から忘れていってしまうんです。漠たる印象は残るんですが」と答えると、笑われた。

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 また珈琲の話。イエメンにモカという港町がある。かつて、そこから珈琲豆がたくさん出荷されたため、「モカ」はコーヒーの代表格だ。(ちなみに、チェーン系のお店では甘いチョコレート風味のコーヒーを「モカ」と呼んで出す。)ところが、最近、珈琲屋さんでエチオピア産のモカを見た。「イエメンじゃないのですか」と尋ねると、「エチオピアもモカですよ」との答え。紅海を挟んで近いから、同じ名前で呼ぶようだ。
 
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 缶コーヒーに関する本を読んだ。『缶コーヒー風景論』。著者は、70年代から900缶を集めた「コーヒー缶コレクター」。メーカー数で言えば、153社におよぶ。すぐ製造中止になるものも多く、また、同じ商品名でもちょっとずつデザインが変わるらしい。北海道でしか売っていないもの、特急列車のなかでしか売られなかったもの。軽快な語り口は冗談半分にも聞こえる。巻末の著者略歴は、「1959年東京生まれ。けん玉一級。」
 

 【書誌情報】『缶コーヒー風景論』、山崎幹夫、洋泉社、1993
 

2014年5月7日水曜日

【ギャラリー】ギャラリーミヤシタ@札幌

ギャラリーミヤシタへ行ってきました。中央区の南5西20、西18丁目駅から歩いてゆけます。閑静な住宅街のなかに落ち着いた佇まい。

ギャラリーミヤシタ外観

Iさんの個展をやっていました。ちょうど、在廊していらしたのでお話を伺いました。なにしろ、一枚目から「この絵はどうなっているんだろう?」と制作方法が気になるのです。


写真撮影は禁止でしたので、代わりにインターネットで公開している作品群のURLを。今回の、ではなくこれまでに展示された作品のようですね。

http://www.gallery-miyashita.info/inoue_lightbox/inoue_lightbox.html

遠目にはアクリルの抽象画に見えます。実際、上のページで見られる写真も多くはそうでしょう。しかし、そこには奥行きがあります。作品には5mmほどの厚みがあり、それが立体造形物のように見せます。

絵柄が鉱物を思わせるだけでなく、近づいて斜めから見ると、鉱物の粒が散りばめられているかのように光ります。これは複雑な技法(アクリル絵の具、メディウム、ジェッソ、砂などの素材と、ローラーおよびやすりの使用ほかのため)によるものです。


ギャラリーオーナーの厚意もあり、受付奧の部屋でゆっくりできました。Iさんを取り上げた本も拝見しました。「工芸評論家」さんによるユニークな一冊。手仕事をめぐる批評のための思想、といったところでしょうか。

展示室を撮影していませんが、シンプルで木の温かみがある造りです。こちらの部屋には蔵書も並びますね。Iさんはここの本棚も手がけた(20年ほど前に作られた)そうです。



とにかく素晴らしい展示でした。絵画とはなにか、考えさせられ、「工芸」「手仕事」の言葉とともにどう位置づけてよいのか、不思議な作品群でした。

会期は、2014年5月11日(日)まで。

【書誌情報】『現代工芸論』、笹山央(ひろし)著、市川文江編、蒼天社出版、2014

2014年5月4日日曜日

【ご報告】本のカフェ第四回@札幌プランテーション(森彦)

 今回は、森彦さんのご厚意もあり、広々とした屋根裏スペースにて開催しました。大きな倉庫を改築したカフェ、プランテーションのグルニエ(フランス語で屋根裏)に15人の参加者が集まってくれました。



 一冊目は、稲垣足穂『一千一秒物語』。ひとの暗部を描く作品が好き、との紹介者さんは澁澤龍彦が「星の王様」と称したタルホのことが気になっていたよう。天体、数学、自分のなかの子供の部分と響く。ショートショートのさらに短いもの。水晶越しに夜を眺めている気分になる。キラキラした夢の話は、ずれと反復を伴って、箱のなかに箱があるような入れ子構造をも思わせる。断片のかたまり、パズル遊びのような童心を感じる、とも。
 

 二冊目は、Helmut Newton(ヘルムート・ニュートン)の写真集。1920年にベルリンで生まれる。ヴォーグなどのファッション誌で仕事をするが、一度、死にかけたのを機に、それ以後は好きな写真を撮り続けることにしたらしい。2004年、自動車事故で亡くなった。作風は、エロティックで退廃的と言われる。紹介者の方にとっては、撮られるひとが媚びないのが特徴で、徹底的に作り込まれ、自然な写真はひとつもないのも面白みとのこと。
 

 三冊目は、山田詠美『ぼくは勉強ができない』。紹介者の方は、高校生の頃に読み、主人公の時田くんに惚れ込んだそう。「ぼくは、絶対に、白黒つける側になりたくないんです」「ぼくは、自分の心にこう言う。すべてに、丸をつけよ。とりあえずは、そこから始めるのだ。そこからやがて生まれて行く沢山のばつを、ぼくはゆっくりと選び取って行くのだ」。また、角が集まって180度になると「まっすぐ」、360度で「まる」になるという比喩も気に入っている、と。
 

 四冊目は、片山令子『ブリキの音符』。司会側が「片山さんの絵本……」と言うと、「絵本ではなく、詩集と思っています」との答え。活字中毒かもしれない紹介者さんは、あるとき病気で文字が読めなくなり、音楽を聴いていた。そのときから、詩は音楽なんだ、と考え始める。片山令子さんの4つの詩集はどれも好きだそう。「鳥の卵は/巣から転がり落ちないように/あのように歪んだ」(詩「石の絵本」『夏のかんむり』所収)。
 

 五冊目は、佐々木美智子『新宿、わたしの解放区』。「おみっちゃん」と呼ばれる著者は、昭和の激動期を大変ユニークに生きた女性。この本は、彼女の半生記。根室に生まれ、幸福な子供時代を送るも小学2年生で太平洋戦争が勃発。兄の死を原体験としてもち、NTTに勤めるが19歳で結婚し、郷里を離れる。1年後に離婚。東京へ出て美容学校に入り、すぐに自主退学。22歳、新宿で屋台を始めて……。昭和を代表する有名人も数多く登場する。
 

 これらの発表ののち、フリートークタイムへ。片隅で「アートルーム」を開く。ニュートンの写真集のほか、手渡しでアニメーターやイラストレーターが描いて綴ったスケッチブック。それに、個展のDM、お知らせ、美水(よしみず)まどかさんのユニークなオブジェ、参加者の撮った写真などが展示される。わいわいがやがや、にぎわいました。


 二次会はそのままグルニエで10人ほどで夕食やドリンクを楽しみ、無事に閉会しました。5人の紹介者をはじめ、参加者のみなさま、プランテーションのオーナー市川様、スタッフのみなさま、ほんとうにありがとうございました。それから、受付ほかのお手伝いをお願いし、当日、大活躍をしてくださったゆーうちさんには改めてここで感謝を申し上げたいと思います。


【書誌情報】
稲垣足穂、『一千一秒物語』、新潮文庫、1997
Helmut Newton, "SUMO", TASCHEN, 2009
山田詠美、『ぼくは勉強ができない』、新潮文庫、1996
片山令子(作)、ささめやゆき(絵)、『ブリキの音符』、アートン、2006
 片山令子、『わすれる月の輪熊』、村松書館、1981
 片山令子、『夏のかんむり』、村松書館、1988
 片山令子、『雪とケーキ』、村松書館、2009
佐々木美智子、『新宿、わたしの解放区』、岩本茂之(聞き書き)、寿郎社、2012