2019年9月8日日曜日

【ひと】「ダメ出し」されて助かる話


ここのところ、ストレートな「ダメ出し」をよくもらう。

7月くらいから編集業の手伝いをお願いしているCさんは、しょっちゅうダメ出しをしてくれる。

「昨日のメールは文意が曖昧でしたね」

率直に、ズバズバ言ってもらえると助かる。顔を合わせる機会も多いので「文字だけでやりとりして気まずくなる」こともない。

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先日、『ちょっと木になる童話集』(リトルプレス)を出して、何人かの方から好意的な感想をいただいた。ひとりだけ、批判を寄せてくれたひとがいた。


10作品のなかで、作者として一番気に入っていた「沖縄の氷」という作品は、北海道も舞台にしているが、その北海道と「アイヌ(の伝説)」の扱いが適切ではないのでは、という内容。

しかも、万年筆で達筆な文字を綴り、したためてくれた。

これには心から感謝した。ご当人はあとから「ご不快ではないですか」とフォローしてくれたが、イラッとしたり、不愉快に思ったりはまったくしなかった。じぶんひとりでは気づけないことだった。

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大人になると、まっすぐにものを言ってくれるひとはほんとうに貴重だと感じる。

2019年9月1日日曜日

【仕事】近刊『平成の文学とはなんだったのか』9月上旬発売


編集を担当した『平成の文学とはなんだったのか:激流と無情を越えて』(重里徹也、助川幸逸郎共著、はるかぜ書房)が9月上旬に発売となります。

これまでにも戦後の文学史をたどった本はありますが、「平成の三十年」の文学を明らかにした本はこれが最初かもしれません。対談メインで読みやすく、扱う作品の幅も広いです。

「体系的・教科書的」な本ではありませんが、純文学を中心に「網羅性」はかなりあるのでは、と思っています(著者の先生方がそうおっしゃるかはわかりません)。10のトピックを立てて(村上春樹、震災後文学、令和の書き手など)自由自在、縦横無尽に語り合います。おふたりの読書量と知見の豊かさに驚きました。

ぼくは編集者の特権(?)ではないですが、ゲラの段階で何度も目を通します。そのたびに、もう読んだ内容なのに、「はっとする」瞬間が多々ありました。なにげない一文、本筋から逸脱したような語りのなかに、時代の真実が映し込まれている、と感じるのです。

この本がよい航路をたどって多くの方のもとで楽しまれますように!