2016年2月17日水曜日

【本の紹介】『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』ロダーリ


僕の好きな光文社古典新訳文庫からの一冊。20世紀イタリアを生きたロダーリは、物語のおもちゃ屋さん。世界のおとぎ話、民謡を下敷きに、現代版をおもしろおかしく20篇。それも、結末はすべて3つついている!

20篇はどれも、さらりと読める易しいお話。たいていのお話はグリム童話、世界の民話、アンデルセンの童話など、よく知られたお話が下敷きになっているので、既視感もあって可笑しい。

それが、ここからクライマックス……というところで、結末1,2,3が並び、そのどれもきちんとしたオチになっています。読者はどれが好みかな〜?と考えながら読める。

ついでに、著者自身はこの結末を推す!というセレクトも巻末についているところもユニーク。「いや、これよりこっちだ」と、べつの結末を選ぶのも楽しい。

ファンタジーが詰まった、意想外なイマジネーションの一冊。訳もよいと思います。

これを課題図書に、読書会をやってみたくなりました……。みんな、どの結末がおもしろいと思うかな?

【書籍情報】
『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』、ロダーリ、関口英子訳、光文社、2011