2015年7月30日木曜日

雨と木曜日(57)

2015.7.30.


今回は、むずかしい顔の話〜珈琲に飽きる危機〜プリンチペ『科学革命』(丸善出版)


僕はちょうど「科学革命」と呼ばれる初期近代に起こった世界観の変遷について思索しながら、メキシコ産のバナナをスーパーで買うところで、レジを済ませながら一点を凝視しつつ下唇を噛むような小難しい表情をしていたら、レジの女性が笑顔でいぶかりながら「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。「あ、大丈夫です…」と言いながらお釣りを受け取る。そう、外見よりは大丈夫のはずなんだけど、サランラップ買い忘れた。

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珈琲に飽きてしまった。いままでになかったことだ。困った。とにかく、毎日1杯半〜2杯くらい、濃いめのきちんと落とした珈琲を飲んでいたら、だんだんに感動がなくなってしまった。それでも、朝はひと口飲みたい。しかし、爽快感やさーっと視野の開ける喜びがない。どうしたのか。二日くらいカフェインを断つべきか。どのお店の、どの珈琲も涙が出るほどではない。あ、そうか。これがふつうなのかも。物足りないけれど…。

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プリンチペ『科学革命』を読んだ。2014年の翻訳で原書も2011年だから、最新の知見が盛り込まれている。科学史の本で16〜17世紀の「革命」を扱ったもののなかでも、素晴らしい出来だ。ちょうど高校の教科書のような調子で、一文一文は易しい言葉で書かれているが、密に詰め込まれており、一語の選び方まで洗練されており、まったく無駄がない。素晴らしい入門書〜概説書となっている。大局的な視点の取り方も好み。


【書籍情報】
科学革命、L.M.プリンチペ、菅谷暁・山田俊弘訳、丸善出版、2014