2015年12月19日土曜日

【本と珈琲豆】美術史の歴史

美術史がいかに発展ないし変化してきたかを辿る本。英語のタイトルは、Art History's History. メタ歴史のようでユニーク。



前半は、プラトン、アリストテレスから18世紀まで、当時の美学や美術史(と現代の言葉で言えるもの)をかんたんに俯瞰する。ヘーゲルやカントにも一章を割いており、思想的な色は強い。

後半は、フェミニズム、記号論、表象、脱構築といった現代の美術批評のテーマごとに章を設ける。とりわけ20世紀の後半に盛んになったトピックのまとめ。

著者は「学生向け」に書いていることを随所で強調しており、全体にとてもよい教科書だとは思うが、専門的な内容をあまりにコンパクトにまとめている点、入門として読んだり、ざっと全体像を掴むには、引っかかり、立ち止まる箇所が多いと思う。なにせ美術や思想の予備知識がないと理解出来ない箇所が多い、そこが難かなという気もする。

【書誌情報】
『美術史の歴史』、ヴァーノン・ハイド・マイナー、北原恵ほか共訳、ブリュッケ、2003